全身性エリテマトーデス”Ring”さんのインタビュー

目次
  1. Ringさんのプロフィール
  2. Ringさんのご紹介
  3. Ringさんの症状と治療
    1. 手が荒れてモノがつかめない
    2. 膠原病の状況が悪くなって診断
    3. 30mgから始まったプレドニン
    4. 2年前にプレドニンを中断
    5. 日常では疲れが取れない
    6. 人それぞれ違う何かを抱えている
    7. 楽しみを見つけるだけで全然違う

Ringさんのプロフィール

Iさんのアイコン

【お名前】Ring

【病名】全身性エリテマトーデス

【その他持病】なし

【性別】女性

【発症年齢】20代

【現在の住まい】埼玉県

【現在の年齢】37歳(2025年時点)

症状や治療法

● 初期症状

指先の荒れ、レイノー現象

● 発症~診断までの期間

5年~10年以内

● 現在の症状

疲労感

● 現在の治療法

服薬していない

● 再燃の経験の有無

あり

● 病気のことを一番相談できる人

患者団体

● 初年度の医療費(窓口負担額)

覚えていない

● お仕事の有無

自営業で週10時間未満の就業

● 日常生活で工夫していること

疲労をためない、血流の改善

● 周囲にお願いしたいこと

疲労感、倦怠感のある方には休養を取らせてほしいです。

● 早期発見のために、今の自分ならどう動きますか?

最近は、医者に行く前にSNSなどで調べる方が多いと思うので、膠原病の情報がすぐに上がってくると良いかと思います。最初に診る医者が重要になるので、なるべく口コミなどで良さそうな医者に行くようにすると良いかと思います。

YouTubeインタビューはこちらをご覧ください。
動画投稿日:2023/11/12
※ YouTube上はIさんでご紹介しています。

Ringさんのご紹介

Masaya

本日はゲストとして全身性エリテマトーデスの患者さんである、Ringさんにお越しいただきました。Ringさんよろしくお願いします。

Ringさん

よろしくお願いします。

Masaya

早速ですが、まずは自己紹介からお願いしてもいいでしょうか?

Ringさん

私は全身性エリテマトーデスを患っています。診断がついたのは今から10~12年くらい前になります。
症状としては、高校生くらいの頃からちょっと手が急に荒れたり、手がすごく冷たくなったりする「レイノー現象」というのが起きはじめました。
腎臓の方に炎症が行って、あとは皮膚の方に炎症が出てしまって、ひどい時は頭皮が炎症して髪が切れてし抜けてしまうこともありました。

レイノー現象(Raynaud現象)とは、寒さやストレスなどの刺激によって、指先や足先などの末梢の血管が一時的に収縮し、血流が悪くなることで、皮膚の色が変化したり、しびれや痛みを感じたりする現象です。
出典:日本皮膚科学会「レイノー現象」

Masaya

ありがとうございます。全身性エリテマトーデスは英語読みのアルファベットの頭文字を取ってSLEというのが一般的に呼ばれていると思いますので、今日のインタビューではSLEという形で統一させていただきたいと思います。

Ringさんの症状と治療

症状や治療内容は、患者さん一人ひとりで異なります。また、注釈に記載している医学用語などの解説は、読みやすさを重視して記載したものであり、医学的な監修を受けた内容ではありません。
詳しくは、かかりつけの医療機関や担当医にご相談ください。

手が荒れてモノがつかめない

手荒れのイメージ
手荒れのイメージ

Q:初めて症状が現れたのは学生の頃ですか?

A:そうですね、高校生の時ですね

Q:それまでに持病や予兆はありましたか?

A:いや、全然なかったです。急にきました。

Q:手に痛みはありました?

A:手の痛みはなかったです。ただ、お風呂上がりの時に手がシワシワになる人多いと思うんですけど、その状態がずっと続いちゃって治らなくて、どんどん手が荒れていって物とかを掴むのが難しくなってしまうような感じになってしまいました。

Q:症状が出始めてからは何科を受診されました?

A:そうですね、皮膚科を3~4軒くらい回ったと思います。近所の皮膚科さんを回ったんですが、医師も全然原因が分からない様子でした。
「これはたぶん乾燥だから、保湿剤を塗っておきましょう」くらいしか言われなかったです。で、ヒビ割れとかもいっぱいしちゃったので、とりあえずステロイドの軟膏とかを出されましたね。

膠原病の状況が悪くなって診断

Q:そういった状態からSLEの診断がついたきっかけは何ですか?

A:本当にどこの皮膚科に行っても良くならないので、自分で大きい病院に行ったんです。そこの皮膚科で見てもらった時に、医師から「膠原病の人でこういった症状が出ている人がいるかもしれないから、一度調べてみますか?」って言ってもらえて、そこで検査をしました。
その時は「まだ薬を服用するほどではない」と言われまして、定期的に診察と検査をすることになりました。

Q:その時点で膠原病の可能性はありましたか?

A:ありました。ただ、治療法は特に変わりがなくて、「そのまま様子を見ましょう」って言われちゃいました。

Q:SLEの治療に入ったのはいつからですか?

A:数年くらい通院していたんですけど、その病院で変化がなかったので、1回受診が終わってしまったんです。でも手は治らないし、ずっとどうしようって悩んだまま、大学生になっても我慢して過ごしていました。

大学卒業後に専門学校に行ったんですけど、そこで受けた健康診断で尿検査に引っかかってしまって、「タンパク尿が出ていますよ」と言われて、最初の総合病院を紹介されたんです。
病院の腎科の方にかかっていろいろ調べていただいて、半年くらいお世話になっていましたが、通院の時にたまたま私が、「昔この病院で膠原病の疑いで通っていたんですよ」みたいな話をしたら、腎臓の先生が「もしかして膠原病関係あるのかな?」と思って、そこから膠原病の先生につなげていただきました。

それからいろいろと調べて、膠原病の状況がすごく悪くなっているというのが分かって、やっとSLEの診断がついて、そこから本格的な服薬治療が始まりました。

Q:最初の病院で膠原病の判断はされず、期間を開けて診断されたのですね。

A:そうです。膠原病の医師は前と同じ方でしたが、状況とかが変わってくると違うのかもしれません。あと、もしかしたら腎臓の医師がすごくいい腕がよかったのかもしれないです。その医師がピンとこなかったら、またわからずにズルズルいったと思うので、運が良かったです。

30mgから始まったプレドニン

医師の診断イメージ
医師の診断イメージ

Q:そこからSLEの治療が始まっていくわけですが、最初はどんな治療がありましたか?

A:診断されたタイミングで膠原病の医師が大慌てで、「すぐ入院しないと大変だ」とか言って、それを見た時にちょっと引いちゃったんですよね。それでセカンドオピニオンで別の病院に移動しました。

注釈

「セカンドオピニオン」とは、現在の主治医とは別の医師に診断内容や治療方針について意見を求めることを指します。日本語では「第二の意見」とも訳され、特に重大な病気(がん、難病、手術が必要な疾患など)の診断や治療を受ける際に、より納得のいく選択をするために利用されます。

そちらの医師は落ち着いていたので、ちゃんと話をして、「本当は入院をした方がいいけど、あなたの場合はもしかしたら外来で行けるかもしれないから、今回は外来で様子見てやってみましょう。その代わり通院は週に1回で、自宅療養してください」ということになりました。

それで、最初はプレドニンの服薬を30mgから始めました。びっくりしたのが、プレドニンを飲んだらすぐに手が落ち着いたんです。

A:やっぱりプレドニンってすごく効きますよね。

はい、非常にびっくりしました。ちょっと怖いなと思ったくらいです。プレドニンを飲み始めてから数週間経って、免疫抑制剤も一緒に飲んでみて、それでプレドニンを少しずつ減らしていきましょう。という感じで治療が続いていきました。

2年前にプレドニンを中断

Q:今はどんな薬を飲んでいますか?

A:今はプレドニンを飲んでいなくて、2種類の免疫抑制剤を飲んでいます。

Q:今はプレドニンを飲んでいないということですが、飲むのを中断するまでにどのくらい期間がかかりました?

A:そうですね、多分5年以上はかかったと思います。本当に徐々に徐々に減らしていって、1度また別の病院に移動することになりましたが、そこでも医師と相談していって減らす方針になりました。
その頃に病状がちょっと悪化して、免疫抑制剤が1個プラスされて、それもあって「免疫抑制剤も飲んでいるから、プレドニンを減らしていく方向でやってみませんか?」ということになったのだと思います。それで2年くらい前にプレドニンは飲み終わりました。

Q:プレドニンを中断してから症状の悪化はありましたか?

A:なかったです。免疫抑制剤を2つ飲んでいたから、そっちがカバーしてくれたのかもしれないです。

日常では疲れが取れない

取れない疲れ
取れない疲れ

Q:日常生活で気を付けていることはありますか?

A:あまり疲れをためないようには意識しています。症状は落ち着いていますが、疲れやすさっていうのがなかなか取れなくて、本当に倒れこむような疲れって言えばいいのかな?筋力が落ちたとかいろいろと要因はあると思うんですけどね。あとは日差しには気をつけています

Q:お仕事で苦労していることはありますか?

A:そうですね。仕事とのやりくりって本当に難しいなと思っています。今年の4月に転職をしているんですけど、前の仕事は人と関わるような仕事だったので、人がいるところではずっと気が張っていて、いないところでハッと気が抜けて、うわぁ疲れたって感じになっていました。すごくいい仕事で好きだったんですけど、休憩があるようでなかった仕事だったので、夕方には本当にくたびれてしまって、帰るに帰れなかったこととかもありますね。

Q:(前職の)職場の方には病気のことを伝えていました?

A:伝えていました。たまたま私は障害者の支援をする仕事をしていて、その当時は精神障害がある方の施設で働いていました。精神障害のある方は、見た目では障害があるというのが分かりにくいので、そういったことに理解のある人が働いていたと思います。なので、普通の方よりは分かってくれるような感じがありました。

Q:そういう環境だと仕事もしやすいですよね。

A:そうですね、しやすいですね。職場の同僚はよかったんですけど、通ってくる方が私たちを頼りにしているので、自分が倒れるわけにいかないなと思って、踏ん張ってやっていたところも結構ありました。やっぱりそれが本当にきつくなってしまって、1回上司に話したこともありました。
そしたら、「それだったら利用者さんに(Ringさんに)病気があるのを開示してみましょうか。利用者さんも励みになるかもしれませんよ」という話になって、1回話す機会を設けていただきました。利用者さんも結構分かってくれて、「Ringさんってこんなに頑張っていたんですね、私も見習います」という声もらったりして、良い経験になりました。

人それぞれ違う何かを抱えている

病気を通じて得た学び
病気を通じて得た学び

Q:病気になる前と比べて、人との接し方に変化はありましたか?

A:そうですね、自分がなかなか『人から理解されないもの』を抱えているので、周りの人も同じように、『他人には理解できないもの』があるのかな?というのはちょっと思っています。

例えば、「今日○○さんはちょっと機嫌悪そうだな、なんか怖いな」って思っても、たまたまなにか抱えているものがあってそんな態度を出しているだけかもしれない。もしかしたら別の日は全然違うかもしれないなって思うのですよね。
そんな感じで、その時だけで人を決めなくなったって言えばいいのかな、人それぞれ違う何かを抱えていると思うと、こんなに大変なのは私だけじゃないのだなと考えられるようになりました。

楽しみを見つけるだけで全然違う

Q:今日は素晴らしいお話をありがとうございました。最後に読者のみなさんにメッセージをお願いします。

A:私の話で何か皆さんの今後の生活や治療の役に立てたらいいなと思っております。本当に私自身も辛くて悩むことがいっぱいありましたが、やっぱり「この世に生まれて楽しく生きていけるようになりたいな」と思ったんですね。

人生は一度きりなので、どんなに病気が悪くても、楽しいことをして、いろんな人と関わったりとか、遊んだりしていきたいなという気持ちは絶対曲げずにやってきました。

本当に病気は辛いと思うのですけど、何か楽しみを見つけるだけでも、全然違うと思います。
私もコツコツと地味にやってきて、結構辛い時もあるけど楽しんでやっていますので、きっとみなさんも同じようにできるのではないかなと思っています。みなさんの健康をお祈りしております。

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