

指定難病の医療費助成制度に関する申請は、周りでも知っている方が少なく、戸惑うことも多いものです。今回は、そんな制度の手続き方法についてまとめました。
指定難病の医療費助成制度は、治療が長期にわたり経済的負担が大きくなりやすい疾患を持つ方を支援するための公的な制度です。
2026年2月時点で300を超える疾患が対象となっており、認定されると窓口での自己負担が原則2割に軽減され、所得に応じた月額上限額が設定されます。
制度を利用するためには、正しい手順で申請を行う必要があります。ここでは、助成を受けるための一連の手続きを5つのステップでわかりやすく解説します。
助成を受けるための5つのステップ
それでは、5つステップに分けて申請手続きをみていきましょう。

ステップ1:医師による診断と検査

まずは病院を受診し、医師から「指定難病の疑いがある」と告げられる段階から始まります。
指定難病の助成対象となるには、単に診断されるだけでなく、「厚生労働省が定める診断基準を満たし、かつ重症度などの条件を満たす」必要があります。そのため、血液検査や画像検査、遺伝子検査などが行われ、確定診断までに数週間から数か月かかることもあります。
ステップ2:医師に「臨床調査個人票」を作成してもらう

診断が確定し、制度の対象となる可能性がある場合、申請に不可欠な「臨床調査個人票(診断書)」を医師に作成してもらいます。
- 作成できるのは「指定医」のみ
この書類は、都道府県から指定を受けた「難病指定医」でなければ作成できません。 - 文書料が必要
作成には数千円から1万円前後の文書料がかかるのが一般的です。 - 内容
病名、症状の重さ、治療内容などが詳しく記載され、審査の中核となる書類です。
ステップ3:住んでいる自治体の窓口へ申請する

必要な書類を揃えて、お住まいの自治体の窓口(保健所など)へ申請します。
【主な必要書類】
- 特定医療費(指定難病)支給認定申請書
- 臨床調査個人票(医師が作成したもの)
- 健康保険証の写し
- 世帯*全員の住民票
- 市町村民税の課税証明書などの所得確認書類
* 所得区分の判定に関わる「世帯」は、住民票上の世帯ではなく、医療保険上の加入単位を基準とします。
※ マイナンバーを利用することで、一部の書類を省略できる場合があります
申請先は、都道府県や政令指定都市が指定する窓口となります。自治体によって細かな違いがあるため、事前に確認することをおすすめします。
ステップ4:審査・認定

申請後、都道府県等で審査が行われます。審査には通常1〜3か月程度の時間がかかります。審査の結果、認定基準(重症度分類など)を満たしていると認められれば、支給認定が行われます。
もし重症度基準を満たさない場合でも、高額な医療を継続する必要がある「軽症高額該当」として認められるケースもあります。
ステップ5:「医療受給者証」の受け取りと利用

認定されると、自宅に「特定医療費(指定難病)受給者証」が郵送されます。
- 利用方法
指定された医療機関や薬局の窓口で提示することで、医療費の自己負担が原則2割になります。 - 自己負担上限額
所得に応じて月ごとの支払上限額が決まっており、上限を超えた分は支払う必要がありません。複数の医療機関を受診する場合は、「自己負担上限額管理票」を使って月間の累計額を管理します。
手続きにおける重要な注意点

- 早めの申請が重要
助成は原則として原則申請日から適用されます。ただし(一定期間まで)遡及が認められる場合があります。診断がついたら、できるだけ早く申請を行うことが大切です。 - 指定医療機関および指定薬局での受診
助成が受けられるのは、都道府県から指定を受けた「指定医療機関」および「指定薬局」での診療に限られます。 - 毎年の更新手続き
受給者証の有効期限は原則1年です。治療を続ける場合は、毎年更新手続きを行う必要があります。また、毎年の更新時にも、原則として指定医による臨床調査個人票の提出が必要となります。利用方法
指定された医療機関や薬局の窓口で提示することで、医療費の自己負担が原則2割になります。

この制度は、高額になりがちな医療費という長い道のりを歩むための「上限付き年間パスポート」のようなものです。パスポート(受給者証)を手に入れるまでは通常料金がかかりますが、一度手に入れれば、どれだけ歩いても(治療を受けても)月々の支払いはあらかじめ決められた上限額までで済みます。
ただし、このパスポートは「指定された窓口(指定医療機関および指定薬局)」でしか使えず、毎年「継続の手続き(更新)」が必要な点に注意が必要です。
【免責事項・ご注意】
本記事は2026年2月時点の情報に基づき作成しています。指定難病の制度は法改正により内容が変更される場合があります。
記事の内容には万全を期していますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。
実際の申請にあたっては、必ずお住まいの自治体の窓口(保健所等)や、主治医、医療機関の相談窓口(地域連携室等)にご相談ください。
本記事を利用したことにより生じた損害等について、筆者は一切の責任を負いかねます。
【監修者プロフィール】
山田純一
ぴりかれら行政書士・社会福祉士事務所代表。 成年後見業務を中心とした活動を行う。専門は意思決定支援。
現在は「成年後見制度における高リスク意思決定支援」をテーマに博士課程後期所属し論文を執筆中。旭川市立大学非常勤講師、旭川医師会看護学校非常勤講師。
