好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”ゆー”さんのインタビュー

目次
  1. ゆーさんのプロフィール
  2. ゆーさんのご紹介
  3. ゆーさんの症状と治療
    1. 初期症状は十数年前から・・・
    2. 膠原病から心不全?
    3. 酸素飽和度の低下
    4. これは普通の副鼻腔炎じゃない
    5. アレルギーって軽く見られがち…

ゆーさんのプロフィール

ゆーさん

【お名前】ゆー

【病名】好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

【その他持病】全身性強皮症、好酸球性副鼻腔炎、慢性心不全、難治性喘息、逆流性食道炎、ステロイド骨粗相症、婦人科系疾患

【性別】女性

【発症年齢】50代

【現在の住まい】東京

【現在の年齢】50代(2025年時点)

症状や治療法

● 初期症状

アレルギー性鼻炎

● 発症~診断までの期間

不明

● 現在の症状

発疹、息切れ、体重減少、鼻炎、喘息

● 現在の治療法

生物学的製剤(リツキサン、ヌーカラなど)

● 再燃の経験の有無

なし

● 病気のことを一番相談できる人

その他

● 初年度の医療費(窓口負担額)

100万円以上

● お仕事の有無

退職済み/無職

● 日常生活で工夫していること

感染症予防。塩分、水分制限。

● 周囲にお願いしたいこと

2度のICUからの生還。誰1人欠けても、今の私の命は無かったと思います。ありがとうございます。と、感謝を伝えたいです。

● 早期発見のために、今の自分ならどう動きますか?

体調不良を放置せず、早く受診すれば良かった。痛感しています。

YouTubeインタビューはこちらをご覧ください。
動画投稿日:2025/06/29

ゆーさんのご紹介

Masaya

本日は、全身性強皮症と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)という膠原病をお持ちのゆーさんにお越しいただきました。
ゆーさん、本日はよろしくお願いします。

ゆーさん

よろしくお願いします。

Masaya

まず自己紹介をお願いします。

ゆーさん

はい。私は現在、全身性強皮症とEGPAの診断を受けて治療中です。ほかにも慢性心不全や好酸球性副鼻腔炎も抱えていて、日々の生活にいろいろな工夫をしながら過ごしています。

Masaya

ありがとうございます。これからいろいろと伺ってまいります。

ゆーさんの症状と治療

症状や治療内容は、患者さん一人ひとりで異なります。また、注釈に記載している医学用語などの解説は、読みやすさを重視して記載したものであり、医学的な監修を受けた内容ではありません。
詳しくは、かかりつけの医療機関や担当医にご相談ください。

初期症状は十数年前から・・・

くしゃみ
くしゃみ

Q:最初に全身性強皮症の初期症状について教えてください。最初にどんな症状が出たのでしょうか?

A:最初のきっかけは、もう14~15年前のことになります。当時、犬の散歩から帰ったあとに、くしゃみや鼻水が止まらなくなってしまって、病院でアレルギー検査を受けたらイネ科の花粉症と診断されました。

ただ、その時点で好酸球の数値がかなり高かったんですね。今思えば、そこから何かが始まっていたのかもしれません。

Q:十数年前から、すでに何らかの初期症状があったわけですね。その時は、膠原病かもしれないという考えはありましたか?

A:いえ、全くありませんでした。

膠原病から心不全?

救急車
救急車

Q:では、診断が確定したきっかけは何だったのですか?

A:2020年頃にコロナが流行り始めて、病院に行くのもリスクが高くなり、健康診断なども控えていました。その頃から鼻水や喘息のような症状がひどくなって、ある日とうとう救急搬送され、ICUに2週間ほど入院することになりました。

その時は意識もなく、医療麻薬を使っていたので自分では分かりませんでしたが、救命救急の先生が私の症状を見て、「レイノー現象が出ている、膠原病かもしれない」と判断してくださったんです。そこから「膠原病からの心不全ではないか」と診断が進んでいきました。

Q:その時、医師から病名を告げられて、どんなお気持ちでしたか?

A:正直なところ、ようやくこの苦しみの正体がわかったという安堵がありました。「治療が受けられる=楽になれる」と思えて、むしろ嬉しかったですね。

酸素飽和度の低下

酸素飽和度
酸素飽和度

Q:さらに、もう一つの膠原病であるEGPAの診断も確定されたんですよね。それはすぐにわかったんですか?

A:はい。退院してから1か月半後くらいに、酸素飽和度が80%台まで下がって、再び息苦しさが悪化し、再度緊急入院となりました。そこでEGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)と診断されました。

これは普通の副鼻腔炎じゃない

心臓を抑える女性
心臓を抑える女性

Q:ありがとうございます。ここからは、関連疾患についても少しお聞きします。まず、好酸球性副鼻腔炎についてですが、これはどのような経過でしたか?

A:副鼻腔炎自体はもう14~15年前からあって、近くの耳鼻科で治療を受けていたんです。CTも撮ってもらって、「膿がたまっている」と言われて、普通の慢性副鼻腔炎として治療していました。でも何をしても全然よくならなくて……。

それで別のクリニックで再度CTを撮ってもらったところ、「これは普通の副鼻腔炎じゃない、好酸球性副鼻腔炎だよ。難病だよ」と言われて、逆紹介という形で大きな病院に戻され、やっと正式に診断がつきました。その時は本当にホッとしました。

Q:では、次に心不全についてお聞きします。こちらは全身性強皮症が影響しているんですか?

A:はい。ICUに入った時は急性心不全という状態でした。全身性強皮症は内臓も硬くしてしまうので、心臓の弁の動きも悪くなってしまい、慢性心不全という診断になりました。

Q:現在の治療のメインはどの疾患になりますか?

A:EGPAが中心ですね。「ヌーカラ」という生物学的製剤を、4週間ごとに皮下注射で3本打っています。これが今の主な治療です。

注釈

「ヌーカラ」は、主に重症の喘息(ぜんそく)を治療するために使われる注射薬です。正式名称は「メポリズマブ」といい、体の中の炎症を引き起こす「好酸球(こうさんきゅう)」という細胞の働きを抑えることで、喘息の症状を和らげたり発作を減らしたりします。最近では、好酸球が関係する他の病気にも使われることがあります。副作用としては、頭痛や注射部位の痛みなどが見られることがあるようです。

アレルギーって軽く見られがち…

深呼吸
深呼吸

Q:通院の頻度はどれくらいですか?

A:今は2か月に1回のペースです。

Q:ご家族のサポートについては、どんな感じですか?

A:診察の日は主人が一緒についてきて、主治医の話も一緒に聞いてくれています。とても助かっています。

Q:周囲の方にお願いしたいことはありますか?

A:そうですね。ECMOや人工呼吸器の影響で声が通りにくくなっていて、聞き取りづらいこともあると思います。そのときは遠慮せずに聞き返してほしいなと思います。

また、咳き込んだり鼻をかんだりすることもありますが、風邪のようにうつるものではありません。そういった点を理解していただけると嬉しいです。

Q:ありがとうございます。では日常生活についても少し教えてください。困っていることはありますか?

A:やはり一番は息苦しさですね。口呼吸なので、朝起きてすぐに鼻をかむところから一日が始まります。常に息苦しい状態が続いているのが、いちばん辛いです。

Q:日常生活の中で工夫していることはありますか?

A:免疫を抑える治療をしているので、感染対策には特に気をつけています。手袋やマスクは必ず着用して、ストレスを溜めないように気づいたら深呼吸。キッチンなど目につくところに「深呼吸」って貼って、見たら意識してゆっくり息をするようにしています。

あとは慢性心不全があるので、塩分と水分の制限をしています。塩をあまり使わず、出汁やハーブ、薬草などで味付けを工夫しています。

Q:では最後に、この病気を早期発見するためには、どんなことが必要だと思いますか?

A:EGPAに関しては、好酸球の数値を普通の病院でも測れるので、アレルギーがある人はその数値をチェックしてもらうといいと思います。

アレルギーって軽く見られがちなんですが、その裏に難病が隠れている可能性もあるので、放置しないことが大切だと思います。

Q:ありがとうございます。では、最後にこの動画を見ている視聴者の皆さんへ、メッセージをお願いします。

A:頑張りすぎて、自分の心や体の声を無視している人って、けっこう多いと思うんです。でもまずは、自分自身の声にちゃんと耳を傾けてあげてほしいです。

私は患者コミュニティに本当に救われました。今は、全身性強皮症・EGPA・慢性心不全・好酸球性副鼻腔炎、それぞれのコミュニティに参加しています。

同じ症状の人たちと悩みや苦しみを共有したり、情報やアドバイスをもらえたりします。
「一人じゃないよ」って思えること、共感し合えることは、本当に大きな支えになります。なので、ぜひそういった場所を探して参加してみてほしいなと思います。

Q:ゆーさん、本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。

A:ありがとうございました。

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