目次
HORIKOさんのプロフィール

【お名前】HORIKO
【病名】多発血管炎性肉芽腫症
【その他持病】副鼻腔炎
【性別】女性
【発症年齢】30代
【現在の住まい】大阪
【現在の年齢】37歳(2025年時点)
症状や治療法
● 初期症状
足の発疹と同部位の異常な浮腫み
● 発症~診断までの期間
10か月
● 現在の症状
なし
● 現在の治療法
ステロイド(プレドニン、ステロイドパルスなど)
● 再燃の経験の有無
あり
● 病気のことを一番相談できる人
家族
● 初年度の医療費(窓口負担額)
50万円台
● お仕事の有無
罹患時に退職、現在はパートやアルバイト
● 日常生活で工夫していること
免疫力が低いため人口密度の高い場所や密室を避ける、マスクなど予防対策を行う。
● 周囲にお願いしたいこと
健康な人間であってもある日突然難病と診断されることがあることを知ってほしい。
● 早期発見のために、今の自分ならどう動きますか?
複数の病院で受診を行う(私の場合は皮膚科/呼吸器科/耳鼻咽喉科/内科を受診しました)。
YouTubeインタビューはこちらをご覧ください。
動画投稿日:2025/05/18
HORIKOさんのご紹介

本日は、多発血管炎性肉芽腫症の患者さんであるHORIKOさんをお呼びしました。HORIKOさんよろしくお願いします。

よろしくお願いします。

まずは自己紹介からお願いします。

はい、名前はHORIKOと言います。罹患している病気は多発血管炎性肉芽腫症です。職業は映像クリエイターです。

ありがとうございます。私と同じ多発血管炎性肉芽腫症を患っているということで、違いなどについても聞いていきたいと思います。
HORIKOさんの症状と治療
症状や治療内容は、患者さん一人ひとりで異なります。また、注釈に記載している医学用語などの解説は、読みやすさを重視して記載したものであり、医学的な監修を受けた内容ではありません。
詳しくは、かかりつけの医療機関や担当医にご相談ください。
冬だから乾燥しているのかな・・・

Q:発症した時の年齢を教えてください。
A:発症したのは34歳の時です。
Q:発症してから診断されるまで、どのくらいの期間がかかりましたか?
A:10か月くらいです。
Q:ありがとうございます。では、診断までの多発血管炎性肉芽腫症の初期症状について教えてください。
A:最初は両足の甲や脛全体に、痒みを伴う湿疹が出ました。足の痒みが出た時は「冬だから乾燥してるのかもしれないな」と、あまり気にしていなかったのですが、それからどんどん痒みが増し、湿疹になってしまいました。
同じころに湿疹の場所が浮腫(むく)んできたのですが、会社の同期に相談したら「30歳から体質変わるから、それでかもね」と言われて「そんなものかな?」と思い様子を見ることにしました。
ですが段々と会社でのデスクワークで長時間座っていたり、通勤での歩行や電車内で立ち続けるのが困難になり、ようやくその段階で『おかしいぞ…』と思うようになりました。
Q:症状が出た時、膠原病を疑いましたか?
A:膠原病というものがそもそもわかっていなかったので、疑うことすらしませんでした。そんな中、症状が重くなってきた時に当時まだ交際関係だった夫に相談したら、もしかしたら…と膠原病の可能性を心配されました。親戚に膠原病の方がいたそうです。
結果的に膠原病の値は出なかった

Q:それでは診断確定までの経過を教えてください。
A:足の症状がだんだんひどくなってきたので、夫のお父さんが経営している皮膚科にかかり、血液検査などをしてもらいました。ただ、一番疑っていた膠原病の値は出ず、その後大型病院の医療センターへの紹介状を書いてもらいました。
この頃には38℃以上の高熱が1週間くらい続いていましたね。
ただ、そこでも病名の判断がつかず、首の後ろや喉、顔全体にも腫れが現れてきたため、近所の耳鼻咽喉科を紹介してもらいました。ここでは副鼻腔炎の診断を受けて、手術をすることになったのですが、結局、それ以外の診断はつきませんでした。
Q:だいぶたくさんの病院を回ったんですね。私も副鼻腔炎の診断を受けて、そこから診断に至りました。HORIKOさんもそこから診断されたんですか?
A:いえ、残念ながらすぐ診断には至りませんでした。
この頃、深呼吸した時に肺の痛みがあって、術前検診の関係で耳鼻科から紹介された内科を受診したのですが、肺のレントゲンで影が写りました。
そこで精密検査を受けるために再度医療センターに紹介状を書いていただき、今度は呼吸器科を受診しました。肺炎の疑いがあるとのことで、検査入院をすることになりました。この頃には発熱で水くらいしかとることができず、急激に体重が落ちてしまいました。
Q:いろいろと検査してもらったのに、なかなか診断されなかったんですね。逆に、診断のきっかけは何だったんですか?
A:はっきりとした診断がつかなかったので、家族と相談したりして、セカンドオピニオンを利用することにしました。そこで受診した整形外科で膠原病の可能性があると診断されて、再度医療センターの膠原内科の紹介状をいただいたんです。
結果的にはやはり膠原病の値が出なかったんですけど、検査入院で肺の細胞や足の細胞を採取して、やっと病名が確定しました。
Q:急に血管炎と診断されて不安もあったと思いますが、診断されたときはどんな気持ちでしたか?
A:それまでは殆ど病気らしい病気にかかったことがなかったので、国指定の難病と診断が下った際もいまいち、ピンときませんでした。でも、家族にひどく心配されて、改めてことの重大さを自覚しました。
プレドニンは1日5mgへ

Q:診断が確定してからはどういった治療がはじまりましたか?
A:約1か月入院してプレドニンの服薬や、数日おきにリツキシマブの点滴をしました。プレドニンは1日60mg、リツキシマブは1週間に600mgを2回点滴しました。
それに加えてステロイドパルスも何度か行いました。
Q:結構たくさんのステロイドを使用したんですね。退院時にはどのくらいの量になっていました?
A:1日30mgまで減らしてから退院することになりました。
Q:現在までに再燃は起きていますか?
A:今のところ起きていません。
Q:今はどういった治療をしていますか?
A:ステロイドは投薬から服薬に切り替えています。体調を見て、段階を追ってプレドニンの服薬量を少なくしてきているところです。退院した時は30mgだったプレドニンも今では1日5mgまで減りました。
治療が落ち着いてから復職へ

Q:ありがとうございます。それでは、次にお仕事についてお聞きしたいと思います。病気が診断されてから、働き方に変化はありましたか?
A:発症した直後は、病気の診断が出るまでに結構会社を休むことが多くて、気持ち的にも続けることが困難だったので退職しました。そこからは治療に専念して、治療が一旦落ち着いてから復職に向けて活動を始めました。
Q:転職活動では病気のことを伝えました?
A:伝えました。定期的な平日の通院があるので、面接の際は必ず企業にその旨を伝えてお休みをいただけるか相談しました。そのことで面接が不利になったことは特になかったと思います。
Q:診断確定までにご主人がいろいろとサポートされていたと思いますが、他にも病気を相談できる人はいますか?
A:元々、夫が膠原病を疑っていたので、私以上に病気のことについて調べていて、なにかにつけて相談にのってもらえる状況でした。
逆に両親や友人は病気のことを殆ど分からないので、説明もなかなか難しくて、そこまで詳しい相談はしていないです。
Q:周囲の人にお願いしたいことはありますか?
A:特にありませんが、「心配しすぎなくても意外と大丈夫だよ」。と思っています。
Q:病気を発症してから日常で困っている事はありますか?
A:やっぱり定期的に平日の通院をしないといけないことです。仕事などの予定にかぶってしまうので結構大変ですね。
あと、今妊娠中なんですが、免疫が低下しているので通常の産婦人科では見てもらえなくて、大きな病院に通院する必要があります。今通っている病院も夫が探してくれました。
見た目は普通に見えても免疫力が低い

Q:日常で工夫している事はありますか?
A:血管炎の治療では毎日薬を飲むので、薬の飲み忘れを防ぐためにルーティンを組んでいます。具体的には、複数の薬を1回に飲む分ごとにセットにして保管しています。
あとは、睡眠不足になると以前にも増して体調を崩しやすいので、多めに休息を取るようにしています。不眠はほとんどないんですが、最近は夜中に起きるようになってしまったので、余計に注意しています。
Q:病気が発症する前と発症後で変わったことはありますか?
A:ステロイドの治療をしているので、免疫低下による感染予防や、人ごみを避けるといったところにすごく気をつけるようになりました。あと、薬に縁のない人生だったのですが、治療のため毎日薬を飲むということを忘れずに続けています。
Q:多発血管炎性肉芽腫症を早期発見するためには、何が大事だと思いますか?
A:発症当初、原因が何かわからず様々な科目の病院にかかりましたが、結果的にその診断の殆どが自分の難病発見のソースになりました。なので、つらい症状があるなら我慢せず、いろいろな人に相談したり病院を受診したりして、自分に必要な治療法を見つけてほしいなと思います。
Q:最後に視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
A:見た目は普通に見えても実は人より免疫力が低い場合もあります。無理に病気の内容は理解しなくてもいいので、そんな人がいることを少しでも頭の片隅に置いてもらって、あなた自身が人から病気をもらわないようにするだけでなく、そんな人もいるからこそ「感染させない」ようにちょっとだけ配慮してもらえると嬉しいです。
Q:HORIKOさん本日はありがとうございました。
A:ありがとうございました。