全身性強皮症”やま”さんのインタビュー

目次
  1. やまさんのプロフィール
  2. やまさんのご紹介
  3. やまさんの症状と治療
    1. 学生時代から胃腸が弱く、頭痛持ちだった
    2. 日常生活を普通に送りたい
    3. ステロイド、免疫抑制剤の選択肢
    4. 大腸がんの発見と治療
    5. キャンセル前提のスケジュールを組む

やまさんのプロフィール

やまさんアイコン

【お名前】やま

【病名】全身性強皮症

【その他持病】原発性胆汁性胆管炎、シェーグレン症候群、逆流性食道炎、間質性肺疾患、緑内障、大腸がん、片頭痛、線維筋痛症

【性別】女性

【発症年齢】30代

【現在の住まい】東京都

【現在の年齢】53歳(2025年時点)

症状や治療法

● 初期症状

微熱と怠さ、原因不明の関節痛

● 発症~診断までの期間

2年~5年以内

● 現在の症状

倦怠感

● 現在の治療法

免疫抑制薬(イムラン、アザニン、セルセプト、エンドキサン、など)

● 再燃の経験の有無

あり

● 病気のことを一番相談できる人

患者団体

● 初年度の医療費(窓口負担額)

覚えていない

● お仕事の有無

退職済み/無職

● 日常生活で工夫していること

手足を冷やさない工夫としてドラム式洗濯乾燥機を使う、日常的にヒエナースなどのカイロを使う、外出時は電熱グローブと電熱靴下を使用。空気清浄機、加湿器、エアコンで室内は一定温度を保つ。ヒートショック予防に浴室暖房、トイレにも暖房。

逆流性食道炎対策として食後二時間は横にならないために、リクライニング式のベッド使用。

外出時はヘルプマークを見えるように身につけ、薬3日分と水は必ず持つようにする。さらに、紫外線対策として日焼け止め、帽子、マフラー着用、夏でも長袖長ズボン。感染予防にマスクは必需品。

食事関係では、プラスチックの皿、キャップオープナー、ピンセット式お箸、トングを活用。

毎朝、血圧を測定。

薬はできるだけ一包化してもらい、薬箱に分けて準備。カプセルを飲む時は要注意。

傷は作らないように生活する。ささくれはむしらない、段差で転ばないように足元要注意。

何かあったらどうするかを予め決めておく。

● 周囲にお願いしたいこと

ヘルプマークを見て、席を譲ってくださり、とても感謝していることを知ってほしいです。
慢性疾患は体だけではなく心をも蝕みます。心ない言葉をかけられると、ひどく傷つくのでやめて欲しいです。

● 早期発見のために、今の自分ならどう動きますか?

病気を周知すること。医療関係者のみならず、一般人にも。

YouTubeインタビューはこちらをご覧ください。
動画投稿日:2024/09/29

やまさんのご紹介

Masaya

本日は、全身性強皮症の患者であるやまさんにお越しいただきました。やまさん、よろしくお願いします。

やまさん

よろしくお願いします。

Masaya

まずは自己紹介をお願いします。

やまさん

強皮症患者会「Linkage」の副代表を務めている、柳と申します。ニックネームは「やま」です。現在、このような病気を治療中です。

Masaya

ありがとうございます。それでは早速、いろいろとお伺いさせてください。

やまさんの症状と治療

症状や治療内容は、患者さん一人ひとりで異なります。また、注釈に記載している医学用語などの解説は、読みやすさを重視して記載したものであり、医学的な監修を受けた内容ではありません。
詳しくは、かかりつけの医療機関や担当医にご相談ください。

学生時代から胃腸が弱く、頭痛持ちだった

うずくまる小学生
うずくまる小学生

Q:それでは、初期症状について教えていただけますか。

A:もともと胃腸が弱く、小学生の頃は自家中毒でよく注射を受けていました。大学生の頃には頭痛がひどくなり、顎関節症を発症。結婚後、2人目の出産から1年後に帯状疱疹で入院しました。その後、帯状疱疹後神経痛の治療中に、だるさや痛み、発熱が続き、膠原病(SLE)の症状だと言われました。

注釈

自家中毒とは、主に子どもに見られる症状で、繰り返し吐いたり、腹痛を起こしたりする状態です。ストレスや疲れ、食生活の乱れが引き金となり、体内で発生した代謝物(ケトン体)が原因とされます。病気というより体質に近く、成長とともに自然に治ることが多いと言われています。

日常生活を普通に送りたい

点滴
点滴

Q:診断までの経緯を教えてください。

A:SLEの可能性があるとのことで、医師の指示により仕事を辞めて自宅療養を開始しました。

体調が落ち着いた4年後に再就職しましたが、2年後に全身のだるさが出て、原発性胆汁性胆管炎と診断。さらに1年後、今度は全身の痛みにより起き上がれなくなり、繊維筋痛症と診断され再び退職しました。

その2年後、繊維筋痛症の専門病院に転院した際、総合病院の医師から「もう一度抗体検査をしましょう」と提案されました。検査の結果、抗セントロメア抗体が陽性となり、全身性強皮症と診断されました。この検査がなければ、現在も繊維筋痛症だけの診断だったかもしれません。複数の病院を転々とし、ようやくたどり着いた診断でした。

注釈

抗セントロメア抗体は、自己免疫疾患の一つである「全身性強皮症(特に限局型)」の診断に使われる抗体です。血液検査で確認され、病気の可能性を見つける手がかりになります。健康な人には通常みられず、特定の病気に関連して現れることが特徴だと言われています。

Q:診断された時、どのような気持ちでしたか?

A:次々と病名を告げられるものの、どれも聞き慣れない名前ばかりでピンとこない。とにかく「症状を軽くして日常生活を普通に送りたい」という気持ちでいっぱいでした。当時は子どもが小さく、一緒に運動会などの行事に参加できるかが心配でした。

Q:診断された後はどのような治療がはじまりましたか?

A:全身性強皮症に関しては軽症とのことで、定期的な検査や特別な治療はなかったです。原発性胆汁性胆管炎の薬を服用し、繊維筋痛症のために様々な薬を試していました。しかし、強皮症の診断を受けた直後はパニック状態となり、約50日間入院しました。

ステロイド、免疫抑制剤の選択肢

Q:最近の治療について教えてください。

A:昨年9月、手先から前腕まで皮膚の変色が広がり、皮膚科でスキンスコアを測定されました。皮膚科ではステロイド治療を勧められましたが、リウマチ科では免疫抑制剤を提案され、意見が分かれてしまったんです。

納得できる治療を求めて、全身性強皮症の専門医に転院しました。そこで再検査したところ、抗U1RNP抗体が陽性で、新たなタイプの全身性強皮症と診断されました。

注釈

抗U1RNP抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)や混合性結合組織病(MCTD)といった自己免疫疾患で見られる抗体です。特にMCTDの診断に重要で、血液検査で発見されます。免疫の異常によって体内の自分の細胞を攻撃する特徴があり、診断の手がかりになると言われています。

また、シェーグレン症候群、間質性肺疾患、逆流性食道炎も併発していることが判明し、それぞれの治療が始まりました。現在服用しているのは、免疫抑制剤のセルセプトと、逆流性食道炎の予防薬です。ステロイドは服薬していません。

大腸がんの発見と治療

Q:別の病気も見つかったとか…

A:昨年12月に引っ越しをし、新たな専門医のもとへ行きました。その後、体調悪化と精神的な不安から2度入院することになったんです。そして2回目の入院(今年2月)で大腸がんが見つかり、3月に手術を受けました。

その間、免疫抑制剤を4か月中止したため、皮膚硬化が目に見えて進行してしまいました。医師と相談し、再び免疫抑制剤を再開しています。

Q:現在の体調はいかがですか?

A:現在は「寛解」とは言えず、すべてにおいて様子見の状態です。

キャンセル前提のスケジュールを組む

スケジュールとカレンダー
スケジュールとカレンダー

Q:日常生活で工夫している点はありますか?

A:日常生活では以下の点を意識しています。

  • 紫外線対策(帽子、手袋、サングラス、長袖)
  • 冷え対策
  • 感染症対策(マスク着用)
  • 常に薬とおくすり手帳を携帯(最低3日分)

また、ヘルプマークの裏に自分の病名と症状を書き、万が一の際に周囲がすぐ対応できるようにしています。

注釈

ヘルプマークは、援助や配慮を必要としていることが外見から分かりにくい人が、周囲に知らせるためのマークです。赤地に白い十字とハートが描かれており、義足や人工関節の使用、妊娠初期、精神疾患などを抱える人が使用します。公共交通機関などで配慮が必要な場面で、優先席の利用や声かけなどの助けを受けやすくする目的があります。

Q:周囲へ配慮を求めるとき、どういった工夫をしていますか?

A:体調の変動が激しいため、予定はキャンセル前提の余裕をもったスケジュールを希望しています。家族には病名よりも「こうしてくれると助かる」という具体的なお願いをするようにしています。その方が家族も動きやすく、お互いに負担が減ると言っていました。

友人には深く説明せず「今日はちょっと体調が悪い」など、症状を共有する程度にとどめています。

Q:ありがとうございます。最後に、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

A:「何かおかしいな」「いつもと違うな」と感じる症状があるときは、迷わず専門医に相談し、正しい診断を受けてください。その上で、医師と納得のいく治療法を話し合い、前向きに病気と向き合ってほしいと思います。

Q:本日は、全身性強皮症の患者であるやまさんにお話を伺いました。やまさん、本当にありがとうございました。

A:ありがとうございました。

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